「減益」が続いても株価は上がるのか?

10回は読みましたでしょうか。何事も飲み込むまで時間が掛かっちゃうタイプなんですよね〜。いや、清原さんのこの本「わが投資術」は読み物としても非常に面白いので、何回でも読んでしまいます。おそらく、すごくわかりやすく簡単に書いていただいていますが、読むたびに新しい発見(つまりいまだに理解しきれていない)があります。いろいろな本に手を出すよりも、これ一冊を理解した方が、はるかに株式投資の見通しは良くなるのではないかと思います。

 僕もほとんどの資金はインデックス投資信託のみに入れておりましたが(今後も8割はインデックスのままの予定です)、この本をきっかけに、一部の資金で小型株を買い始めました。最近読んで、良かったページを紹介したいと思います。(109ページからです)数字のことを考えるのがちょっと面倒な方は、下部の表のところまでは読み飛ばしてください。

さて、タイトルの「減益が続いても株価は上がるのか?」ですが……どう思いますか?

結論、「理論上、上がる」です。 ただし、PER(株価収益率)による、と付け加えます。以下、順番にゆっくり理解してみてください。

①まず、PERとは、株価(時価総額)が、1株あたりの利益(当期利益)の何倍か、を示す指標です。かなりわかりやすい数字で考えると、

当期利益100円、時価総額1,000円の会社があった場合、PERは10倍、といった具合です。

この会社の利益が全て配当として株主に還元されたら、10年で元が取れる、と考えていいですね。

②今度は1株当たり利益(EPS)が100円の会社があったとします。将来も、この会社のEPSは未来永劫100円だとすると、この会社の価値は無限大になります。100円を無限に稼げるからです。でも、100年後の100円と、今の100円とでは、果たして価値は一緒なのでしょうか?答えはNOです。「金利」が存在するからです。例えば、金利が2%なら、今の100円は100年後に、724円になります。逆に言うと、100年後の100円は、今の14円と同じ価値になります。この考え方を「割引現在価値」と言います。

この金利2%という前提で、将来ずっと得られる利益の100円を、割引現在価値に直して全て足し合わせると、5,100円になります。これが株価です。

無限等数列の和の公式 100*[1/(1-1/1.02)]=100*51=5,100円

よって、この会社のPERは51倍となります。

③1株あたりの利益=EPS、金利=2%、翌期の利益/ある期の利益=a(aは永久成長率と呼ばれる)とすると、

株価=EPS*PER=EPS*[1/(1-a/1.02)]

よって、以下の式が成り立ちます。

a = 1.02 (1 – 1 / PER)
PER = 1.02 / (1.02 – a)

2026年現在で日本の株式市場全体のPERは15倍ぐらいなので、金利2%として計算すると、上場企業の利益は平均毎年4.8%ずつ減っていくと見込まれていることになるようです。会社の利益が将来ずっと変わらないということはあり得ませんが、上記の考え方の下では、以下の表が出来上がります。(あくまで理論上、ということですが)

PER\金利2%3%5%10%
5倍-18.4%-17.6%-16.0%-12.0%
10倍-8.2%-7.3%-5.5%-1.0%
15倍-4.8%-3.9%-2.0%2.7%
20倍-3.1%-2.2%-0.3%4.5%

この表では、金利が2%だったら、PERが10倍の株は、毎年減益幅8.2%が株価に織り込まれていて、もし毎年3.1%の減益で済んだ場合は、適正なPERが20倍なので、株価は倍になっても良い、ということになります。

よって、タイトルの「減益」が続いても株価は上がるのか?の問いに対しての答えは「上がる」で良いのです。もちろん業績が横ばいでも株価は上がる要因になるのですね。PERによっては。

だから、割安株に投資したいと考えている場合、低PERであるということは、非常に重要なポイントになりますよね。まずはスクリーニングする上で、一番に絞りたい項目です。以前、「高成長株?……それとも低成長株?」という記事ではリスクプレミアムについて書きましたが、リスクプレミアムの考え方と、逆のようでもあるし、似ているようにも感じます。こちらの考え方の方が、数字ははっきりしていますね。