高成長株?……それとも低成長株?

一体、 どの企業の株式や投資信託の銘柄を購入すれば良いのか。 当然、「そんなもの誰にもわかりません」これが真実であることは間違いなさそうです。

ならば、「理論上(確率上)、どの選択をすべきか」これが答えになりそうです。というか、僕はそうでありたいです。(人生に「ロマン」や「楽しみ」は間違いなく必要です!が、ここではそれをいったん脇に置いておきます)

山崎さんの本で、僕の株式投資の指針が固まりましたので、記事にさせていただきました。具体的に書かれているのが、94ページから101ページ

株式のリターンは成長からではなく株価形成から生じる

という部分です。読んでみて、自分は「株式」について、そもそもよく分かっていなかったんだな、というのが正直な感想です。きっと多くの金融マンも同じ感想を持つのではないでしょうか。 一回読んだだけではよくわからなかったので、相当な回数、繰り返し読みました。

内容はこうです。(僕の解釈で要約してあります)

株式のリターンというは、企業や経済の成長から得られるのではなく、それは既に株価に織り込まれているもので、株式投資のリターンは短期金利(無リスク金利)にリスクプレミアムを足した値になる。このことから、 投資家が期待を託すべき相手は「経済成長」ではなく「市場価格形成メカニズム」なのだ。

(以下、しばらく流してお読みください。数字が好きな人は理解してみてください)

まず「株価」は、その企業における、1株当たりの利益の 「割引現在価値」で決まります。

第1期の利益(E)、毎年(g)の 率で成長するキャッシュフローを割引率(r)で 割引いた時の、第1期から無限の将来までの割引現在価値の合計(P)は、次の式で決まります。

P = E / ( r – g )

例えば、発行株数1億株、 今期の予想純利益が100億円(つまり1株当たりの利益は100円)の 企業の利益が年率1% でずっと成長するものとする。

この将来利益を年率6% の割引率で現在価値に直す時、 今期から将来のすべての利益の割引現在価値の合計は2,000円となる。

P = 100 / ( 0.06 – 0.01 ) = 2,000

(割引率6%は、短期金利(無リスク金利)を1%、 リスクプレミアムを5%として計算。リスクプレミアムの5%というのは、株式投資における歴史上の「相場」であり、「だいたいそれぐらい」と考えるべき値です)

さて、ようやく、ここからがタイトルの答えとなります。

A、B2つの企業があり、 今期の予想利益が同じく100円とする。A社は 利益が2%で成長し続け、B社の 利益はマイナス2%で 減少し続けるとした時、それぞれの株価はいくらか?

●A社 2,500円 (P = 100 / ( 0.06 – 0.02 ) = 2,500)

●B社 1,250円 (P = 100 / { 0.06 – 〈-0.02 〉} = 1,250)

(これが既に株価に、将来の成長率が織り込まれているということです)

では、計算された株価で、A社、B社の株式に投資するときの期待リターンはいくらか。ともに割引率が6%。「 成長率を反映して株価が決まっている場合、割引率が同じなら高成長で高株価な会社に投資するのと、低成長で低株価な会社に投資するのとでは期待リターンに差ない」ということに なります。

つまり、「A社、B社、 どちらに投資すれば良いのか?」という問いに対する金融論的正解は、

「A社、B社の 両方に分散投資する」

となります。

「現在の株価」は将来の利益や成長率を織り込んでいますので、 ある意味で常に適正です。しかし、それと同時に、あくまで予想にしか過ぎませんので「常に間違っている」と言い換えることもできます。

ですので、われわれ株式投資家がとるべき行動は、出来るだけ低いコストで、リスクプレミアムを集めることにあります。(投資先を分散すればするほど「間違い」のリスクが小さくなるので)そして、「出来るだけ長くそこにいる」ことで利益が大きくなることになります。(回りくどい言い方をしましたが、これが理論上(確率上)取るべき行動なので)

この考えを持って、それを最も簡単に実現できる方法は……(都合上、肝心なそれを書けずにすみません!笑)


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